【断熱のきほん①】断熱材の種類で迷う“沼”から抜け出す、たった一つの考え方

【断熱のきほん①】断熱材選びで迷う「沼」から抜け出すための、たった一つの考え方を解説するアイキャッチ画像。この記事は、断熱材の種類ではなく「断熱の目的」から考える重要性を伝えます。

📍「断熱材は、やっぱりグラスウールよりロックウールの方が性能が高いの?」
📍「最近よく聞くセルロースファイバーって、どうなんだろう?」
📍「それぞれのメリット・デメリットを比較しているけど、結局どれが我が家に最適なのか分からない…」

関谷 春樹
関谷 春樹

はじめまして☺️ 元棟梁のホームインスペクター、関谷春樹です。
今回は、断熱材の種類で迷う“沼”から抜け出す方法を解説します🍀

家づくりやリフォームを真剣に考えるほど、あなたはこのように断熱材選定の“沼”にハマってしまっているかもしれません🤔

しかし、もしあなたが「どの材料を選ぶか」という議論に多くの時間を費しているとしたら、それは家の快適さを決める、もっと大切な本質を見逃しているサインかもしれません。

「材料選び」から「会社選び」へと、視点を切り替えること。

目次

なぜ、材料選びに意味がないのか?

両方ともF1マシンなのに、結果が異なる理由を対比する画像。左側のブロックには、「高性能マシンと熟練ドライバー」と書かれており、フラッグを振り、輝きを放ちながら速く走るF1マシンとドライバーが描かれている。右側のブロックには、「高性能マシンと未熟ドライバー」と書かれており、走る方向がわからず、頭に疑問符がついたF1マシンとドライバーが描かれている。

あなたが選ぼうとしている断熱材(グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーなど)は、どれも国が定める厳しい基準をクリアした、優れた建築材料です。

素材ごとに特性の違いはありますが、カタログに書かれた性能を正しく発揮できれば、どれを選んでも快適な家は作れます。

では、なぜ「新築なのに冬は寒く、夏は暑い家」が生まれてしまうのでしょうか?

⚠️それは、どんなに優れた材料を使っても、現場での「施工品質」が悪ければ、その性能は全く発揮されないからです。

それは、F1マシン(最高の材料)に乗っていても、運転するドライバー(職人)の技術が未熟であれば、まっすぐ走ることすらできないのと同じです。

【実録】カタログスペックを無駄にした、悲劇の現場

無駄なハイスペック断熱の3つの事例を示す画像。左の写真は、床下の断熱材が垂れ下がっている様子。その下には、床断熱材のずり下がり、床と断熱材の間で結露、設備効率の低下、高断熱でも寒い、という問題点が箇条書きで書かれている。中央の写真は、壁内の断熱材が欠損している様子。その下には、壁断熱材の欠損、壁内結露、カビ、シロアリの発生、耐力低下、という問題点が箇条書きで書かれている。右の写真は、天井断熱材が欠損している様子。その下には、天井断熱材の欠損、小屋裏の湿気が滞留、夜間でも熱が逃げない、設備効率の低下、という問題点が箇条書きで書かれている。

以前、私がホームインスペクターとして新築の高性能住宅を診断した時のことです。 その家は、カタログ上では非常に優れた性能を持つ、高価なボード系断熱材を床下に採用していました。

✅しかし、床下に潜ってみると、その断熱材はほぼすべてずり下がり、床との間に大きな隙間ができていました。
これでは、カタログ上の高い断熱性能は絵に描いた餅。冷たい外気が床下を自由に通り抜け、足元が冷えるのは当然の状態でした。

[→ 関連記事:【見えないから不安…】床下の断熱、プロに任せきりで大丈夫?]

あなたが本当に知るべきは「材料の性能」より「会社の姿勢」

断熱施工のチェックリスト3選のイラスト画像。1つ目のチェック項目は「断熱材に隙間がないか」で、虫眼鏡のイラストと「隙間があると一気に断熱性能が低下する」という説明文が付いている。2つ目のチェック項目は「断熱材に下がりがないか」で、下を覗き込む人のイラストと「床断熱材は床下からチェックする!」という説明文が付いている。3つ目のチェック項目は「施工説明書を読んでいるか」で、取扱説明書のイラストと「断熱メーカーが出している施工説明書を理解しているか」という説明文が付いている。

✅断熱材の性能は、壁の中や床下といった「見えない場所」で、職人の手によって丁寧な仕事がされて、初めて100%発揮されます。

  • 断熱材が隙間なく充填されているか?
  • 気密テープは正しく貼られているか?
  • 将来的な垂れ下がりやズレを防ぐ工夫はされているか?

これらの無数のチェックポイントを、誰が、どのように管理しているのか。 その「品質管理の体制」こそが、あなたが断熱材の種類を比較検討するよりも、はるかに重要視すべきことなのです。

ですから、住宅会社や工務店には、材料の名前を聞く前に、こう質問してみてください。

「御社では、現場の断熱施工の品質をどのように管理されていますか? 例えば、施工マニュアルや、現場監督によるチェックリスト、第三者機関による検査などはありますか?」

この質問に対して、よどみなく、具体的な管理体制を説明できる会社。 それが、材料の性能をただ謳うだけでなく、その性能をあなたの家で確実に実現してくれる、信頼できるパートナーです。

【結論】「沼」から抜け出し、「安心」を手に入れるために

断熱材選びの沼から抜け出すための考え方を示したイラスト。「沼から抜け出す考え方」という見出しがあり、沼地から本やお金が飛び出している。左のブロックには「種類??」と書かれ、「グラスウール、吹き付けウレタン、セルロースファイバー」などの種類が書かれている。中央のブロックには「比較??」と書かれ、「性能比較、金額比較、メリット、デメリット」が書かれている。右のブロックには「結果」と書かれ、イラストで適切な施工がされた家の中に家族が幸せに暮らしている様子が描かれており、「適切な施工、品質管理、コストパフォーマンス」という文字が書かれている。

✅断熱材選定の“沼”から抜け出す方法は、たった一つです。

「材料選び」から「会社選び」へと、視点を切り替えること。

・「専門的で、何を聞けばいいか分からない…」
・「担当者に煙たがられないか心配…」

そう感じるあなたの不安は、もっともです。
だからこそ、私たちのような第三者の専門家がいます。あなたの代わりに専門的な質問を投げかけ、その答えが信頼に足るものかを見極めるお手伝いをします。

材料の比較検討に疲れてしまったら、ぜひ一度ご相談ください。 一緒に“沼”から抜け出し、本当に快適で安心できる家づくりの一歩を踏み出しましょう🍀

関谷 春樹
関谷 春樹

私は建築の仕事を15年間してきた専門家として、家の不具合の原因を見つけ、みなさんが抱えている不安やストレスを、少しでも「安心」に変えるお手伝いができると信じています🌻

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「断熱選び」のよくあるご質問(FAQ)

断熱選びに関するFAQ(よくある質問)のイラスト画像。白い背景にピンクの枠があり、「FAQ よくある質問」という文字が書かれている。中心には一筆書きで描かれた家のイラストがあり、その下に6人の人物が様々なポーズで立っている。

Q1. それでも、やっぱり断熱材の種類は気になります。それぞれの特徴を教えてください。

A1. 代表的なものとして、

  • 繊維系(グラスウール、ロックウール)
  • 発泡プラスチック系(ポリスチレンフォームなど)
  • 自然素材系(セルロースファイバー、羊毛など)

それぞれコスト、耐火性、防音性、湿気への強さなどに特徴がありますが、本記事でお伝えした通り、どの材料も適切な施工が伴わなければ意味がありません。まずは品質管理体制を重視し、その上で、その会社が得意とする材料を選ぶのが良いでしょう。

Q2. 「気密測定(C値測定)」を行っている会社は、品質管理ができていると考えて良いですか?

A2. はい、その可能性は非常に高いです。気密測定は、断熱・気密施工の丁寧さを客観的な数値で証明する、いわば「施工品質の通知表」です。全棟で気密測定を標準としている会社は、品質管理に対する意識が非常に高いと考えて良いでしょう。

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Q3. 施工不良があった場合、後から直せますか?

A3. 場所によります。床下や天井裏など、点検口からアクセスできる場所であれば、比較的容易に補修できる場合があります。しかし、壁の中となると、壁を一度剥がすなどの大掛かりな工事が必要となり、費用も高額になります。だからこそ、建築中の品質管理が何よりも重要なのです。

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この記事を書いた人

関谷 春樹(せきや はるき)
15年の大工・棟梁経験を活かし、現在はホームインスペクター(住宅診断士)として年間100棟の住宅を診断。その傍ら、建築専門学校で未来の建築士たちに「構造力学」や「環境工学」を教える講師も務める。
コンセプトは「見えない不安を、見える安心に」。 高価な設備やスペック競争よりも、現場での「適切な施工」と「本質的な知識」こそが、家の価値と家族の健康を守ると信じ、情報発信を行っている。
【主な保有資格】
・二級建築士
・JSHI公認ホームインスペクター
・一級建築大工技能士
・カビ・ダニ測定士
・シックハウス診断士

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