原因究明へのアプローチ

お客様が抱える「欠陥住宅ではないか?」という不安に対して、私たちは以下のような考えでアプローチを行います。
※ここでいう「欠陥」とは経年劣化による不具合ではく、設計や施工が原因による不具合を指します。
私たちは、一つの欠陥を調べるにも建物全体の調査を基本としています。
理由は、建物はすべてつながっており一つの欠陥は複数の二次的不具合につながる場合が多いからです。
例えば、以下のように家の傾きは様々な要因が考えられ、二次的不具合が生じている可能性が高いと推測されます。
【家の傾きの要因】
・擁壁の傾き
・地盤沈下
・基礎の欠陥
・間取りの不整形
「家の傾きによる二次的不具合」
・外壁や屋根のひび割れによる雨漏り
・雨漏りによる構造躯体の腐食
・雨漏りによるシロアリ・カビの発生
・平衡感覚の乱れによる健康被害
「家の傾き」へのアプローチ

「このまま住み続けて大丈夫だろうか」という不安の根源である傾きに対し、レーザーレベルで建物全体の傾斜を精密に測定します。
単に傾きを測るだけでなく、その原因が「地盤沈下」によるものなのか、「構造体の変形」によるものなのかを見極めることです。
また、傾きが進行するのか、収束に向かうのか。調査物件の敷地に限らず、前面道路や隣地も観察します。
デスクワークではGoogleマップや地理院地図による敷地の断面図、航空写真なども判断の資料とします。
不具合の原因を構造力学といった不変的な根拠まで立ち返って判断することを大切にしています。
「雨漏り」へのアプローチ

雨漏り調査は、原因特定が極めて困難な調査の代表例です。
これまでの雨漏り調査や元棟梁として、数多くの住宅を建ててきた経験から、雨漏りの原因の多くは「雨仕舞不良」によるものです。
「雨仕舞」とは防水シートや防水テープの重ね方や張り方、屋根と外壁の取り合い部の詳細な設計のことです。
重要なのは建物が劣化しても雨仕舞により、雨の進入を防ぐことです。
雨仕舞不良の代表例として、シーリングで穴をふさぐことあげられます。
シーリングは10年程度で劣化するため、シーリングのみで雨を防ごうとしても、築年数が経つにつれて雨漏りのリスクが高まります。
雨仕舞不良による雨漏りは新築から10年以内に発生する可能性が高いと言えます。
これは住宅の瑕疵保険が10年とされていることにも反映されていると考えられます。
10年以内に雨漏りが起きることは劣化ではなく、施工不良であり、「雨仕舞不良」によるものです。
「カビ・結露・シロアリ」へのアプローチ

室内や床下に生じているカビや結露のほとんどの原因は設計、施工不要と推測されます。
カビや結露、シロアリといった生物学的な不具合は温度や湿度を設計によりコントロールする必要があります。
カビやシロアリの除去を行っても根本的な原因を改善しなければ再発します。
それぞれの専門業者が薬剤や調湿材料を使用するに対して、私は設計的な目線で改善案を提出します。
環境工学の講師の目線から不変的な根拠を追求します。
「構造の欠陥」へのアプローチ

「構造の欠陥」へのアプローチ
専門機材によるデータの取得

これまでの目視による調査に加えて、専門機材による客観的なデータを取得します。
ただし、機材を使用することが目的ではありません。
調査の正確性や客観性をより確実にするために私の補佐をする意味で使用します。
そのため、当事務所では、高価な専門機材を買いそろえることはしません。
私たちの、「目視による調査」に高い精度を確信しています。




Ⅲ. 調査の集大成:「建物の真実」を伝える報告書
調査で得られたすべての情報は、お客様の未来の判断を支えるための資産です。
私たちは、専門用語の羅列ではない、「見てわかる」報告書を作成することに全力を注ぎます。

【報告書の特長】
- 一目でわかる視覚的な解説
すべての指摘箇所に、現状を撮影した写真を添付します。「どこが」「どうなっているのか」が一目瞭然です。 - 原因と結果の明確化
「ひび割れがある」という事実だけでなく、「なぜこのひび割れが起きたのか」という原因まで、構造の原理原則に沿って分かりやすく解説します。 - 将来のリスク評価
その事象を放置した場合、将来どのようなリスク(構造耐力への影響、修繕費用の増大など)が想定されるのかを具体的に示します。 - 中立的な立場からの改善案
特定の工法や業者に誘導することなく、考えられる修繕や対策の方向性を、メリット・デメリットを含めて中立的な立場で提示します。