概要
このページでは、関谷建築事務所が住宅不具合の調査業務において、どのような構造と前提によって独立性を担保しているかを説明します。
当事務所が重視している独立性は、姿勢や考え方を宣言するものではありません。
業務内容、関与範囲、収益構造、契約条件を含めた全体の設計によって、調査結果が特定の立場や利害に左右されない状態を成立させることを指しています。
住宅不具合の原因究明は、施主、施工者、設計者など、利害が対立しやすい関係性の中で行われる業務です。
そのため、調査者の立場や利益構造によって、事実の整理や判断の前提となる情報が影響を受けるリスクが常に存在します。
以下では、当事務所がどのような業務設計と運営構造によって独立性を確保しているかを、具体的に説明します。
1.住宅不具合調査において独立性が求められる理由
利害が生じやすい構造について
住宅不具合の原因究明は、施主、施工者、設計者、メーカーなど、複数の当事者が関与する状況で行われます。
それぞれの立場には、責任の所在、是正方法、費用負担などに関する利害が生じやすく、同じ事象であっても評価や解釈が分かれることがあります。
このような状況において、調査者がいずれかの立場に近い関係性を持っている場合、
意図の有無にかかわらず、事実の整理や判断の前提となる情報に影響が及ぶ可能性があります。
また、調査結果がその後の是正工事や交渉、紛争に利用されることも少なくありません。
そのため、調査者の立場や収益構造によって結果が左右される余地がある場合、
調査そのものの信頼性が損なわれるリスクが生じます。
住宅不具合調査において独立性が求められるのは、
特定の当事者に有利・不利な結論を導くためではなく、
事実の整理と判断に必要な情報が、立場や利害から切り離された状態で行われる必要があるためです。
2.当事務所が定義する独立性
中立性・第三者性・利益相反の排除
当事務所が考える独立性とは、調査結果や判断に必要な情報の整理が、特定の立場や利害によって左右されない状態を指します。
これは姿勢や意識の問題ではなく、業務の前提条件として成立しているかどうかで判断されるものです。
具体的には、次の三つが同時に満たされていることを独立性の前提としています。
中立性
依頼者の立場にかかわらず、確認できた事実、記録、測定結果に基づいて整理を行うこと。
依頼者の希望や期待によって、整理内容や判断の前提となる情報が変わらないこと。
第三者性
調査結果によって、当事務所の立場や利益が変動しないこと。
調査対象となる当事者のいずれにも属さない位置で業務を行うこと。
利益相反の排除
調査結果の内容が、当事務所の収益や将来の業務獲得に影響しない構造であること。
調査者自身の損得が、事実の整理や判断に必要な情報の提示に影響を与えないこと。
これらが揃ってはじめて、
調査結果が特定の当事者のためのものではなく、
状況を判断するための共通の前提として利用できる状態が成立します。
3.独立性を担保する業務上の前提
立場・役割・関与範囲の限定
当事務所は、住宅不具合について、事実の整理と判断に必要な情報の提示を行う第三者の立場にあります。
特定の当事者の代弁者として関与する立場ではありません。
そのため、当事務所は次の行為を業務の前提として行いません。
・是正設計、工事監理、是正工事の実施
・補修工事や是正設計を前提とした助言
・施工者、設計者、メーカー等の紹介や斡旋
・依頼者に代わって要求、指示、交渉を行うこと
・責任追及や法的主張を行うこと
これらの行為を行わないことで、
調査結果がその後の業務受注や利害関係と結び付く余地を排除しています。
この前提の上に、次章で説明する運営構造が成り立っています。
また、当事務所は、調査結果に基づく最終的な判断や対応の選択を、依頼者自身が行うことを前提としています。
当事務所は、判断の前提となる情報を整理し提示する立場に留まり、当事者として意思決定に関与することはありません。
4.独立性を支える運営構造
利益が調査結果に影響しない仕組み
当事務所の独立性は、調査結果の内容によって、当事務所の利益や不利益が生じない運営構造によって支えられています。
当事務所の業務は、住宅不具合の原因整理および判断に必要な情報の提示に限定されており、
補修工事、是正設計、工事監理、施工業務から収益が発生する仕組みを持っていません。
そのため、指摘事項の多少や内容によって、
当事務所の収益が増減することはありません。
また、ハウスメーカー、工務店、設計事務所、施工業者等との間に、
資本関係、継続取引、業者紹介や斡旋による紹介料その他の経済的利益は存在しません。
当事務所の運営資金は、依頼者から支払われる調査費のみで構成されています。
調査費以外の利益源が存在しないため、
調査結果を特定の方向に誘導する動機が生じない構造となっています。
このような運営構造によって、
調査結果の整理内容が、当事務所自身の損得によって左右されない前提が成立します。
5.契約と業務設計による独立性の担保
外部干渉を受けないための具体策
当事務所では、独立性を姿勢として示すのではなく、契約内容と業務設計の両方によって担保しています。
調査方針、調査内容、報告書の記載内容について、依頼者や関係者が介入できないことを、契約上の前提として明示しています。
調査結果は、依頼者の希望や期待に沿って調整されるものではなく、調査時点で確認できた事実と資料に基づいて整理されます。
また、業務範囲を原因整理および判断に必要な情報の提示に限定し、設計、工事監理、是正工事、交渉行為を契約上の業務範囲から除外しています。
これにより、調査結果がその後の業務受注や経済的利益と結び付く余地を排除しています。
調査の実施方法、確認可能な範囲、調査結果の位置づけについても、契約書内で明確に定義しています。
非破壊調査を前提とすること、確認できない事項が生じ得ること、すべての原因を特定できるとは限らないことを、あらかじめ共有したうえで業務を行います。
このように、契約内容と業務設計の両面から、調査結果が外部からの干渉を受けない前提を構築しています。
6.この独立性が意味すること
依頼者に理解してほしい前提
当事務所の独立性は、特定の当事者の立場に立つことを目的としたものではありません。
施主、施工者、設計者、弁護士など、いずれの立場からの依頼であっても、調査内容や整理の前提が変わることはありません。
そのため、当事務所は、依頼者の主張や希望を代弁したり、他の当事者に対して要求や指示、交渉を行ったりする立場ではありません。
調査結果や報告書は、依頼者自身が状況を整理し、今後の対応を検討するための材料として提供されます。
調査結果は、特定の結論や結果を保証するものではありません。
調査時点で確認できた事実と資料に基づく整理であり、判断や対応の選択は、依頼者自身の責任において行われることを前提としています。
関係者それぞれが状況を把握し、判断するための共通の前提を提供することを目的としています。
特定の方向に導くためのものではありません。
